高コンテキスト言語/低コンテキスト言語

最近知った雑学の話。
ウォーム&ウェット or クール&ドライ。
 高コンテキスト言語と、低コンテキスト言語という概念がありまして。
 ググると出てくるんですが、ナントカいう言語学者の方が提唱した概念だそうです。
 コンテキストっていうのは「文脈」みたいな意味(言葉としては書かれていないけど、伝わる事柄)。それが多く表現できる言語か、そうでないかという度合いを、言語ごとに分類分けしたそうです。ナントカさんが。

 で、日本語はダントツに高コンテキストな言語として位置付けられてます。つまり、「言外の」意味やイメージが豊富だということです。同じく高コンテキスト言語としては中国語、韓国語、アラビア語あたりがランクインしてます。
 逆にヨーロッパ系言語は総じて低コンテキスト。細かく説明しないと伝わらない言語ってことです。一番低コンテキストなのが(スイス系)ドイツ語、と前述の学者さんは分類しています。

 どういうことかというと。

 「紅い実はじけた」

 有名な絵本の題名ですが、これどう思います? もうこれだけで若干気恥かしいというか、甘酸っぱいような、なんとも言えない語感を感じませんか? 内容も、たしか少女の淡い初恋みたいな話です。
 だけど、よく見ると、紅い実がはじけたとしか書いてないんです。
 これを低コンテキスト言語のネイティブ話者に読ませると、こう思われる可能性があるそうな。
「紅い実って何の実? 大きい実? 小さい実? いくつ成ってたの? はじけたってどんな風に? なんではじけたの? そもそも何の話? 紅い実がはじけた話???」
 つまり、伝わる情報が、「(緑でも黒でもなく)紅い、(何かの)実が(原因不明だけど)はじけた」という情報だけなんですね。付随して「初恋」とか、「思い出」とか、そういうキーワードがあればちゃんとわかる、らしいですけども。
 もっと単純化して言うと、「あかいりんご」と言われても連想イメージがほとんど出てこず、「ああ、緑色じゃないのね」としか思わないけれど、「あかいりんご、から何か連想してください」とか、「あかいりんごにまつわる思い出はありますか」とか聞かれれば答えるよ、的な感覚だそうです。低コンテキスト文化圏は。

 ほかにも、高/低コンテキストの違いを説明するのによく例えに挙がるのが、俳句ですよ。俳句。

「古池やかわず飛び込む水の音」

 これを聞いて、俳句や日本のことを知らないヨーロッパ系言語話者の人は、「何匹のカエルが飛び込んだの?」とか、「朝? 昼? 夜? いつ飛び込んだのかわからないから情景が浮かばない」とか、そんなふうに思うそうです。

 文学や詩歌しかり、説明書や契約書しかり、日本語は説明しすぎると逆にゴチャゴチャする。「英語はなんでもかんでも説明の修飾を重ねないと気が済まない言語」と語ったのは谷崎純一郎だそうですが、まさにその通りだと個人的には思うわけです。

 でもですよ。
 逆に考えれば、沢山説明を入れれば、海外小説っぽくなるということでもあります。現に、ミステリ小説のクールな語り口は、一昔前の翻訳ミステリブームで大量流布した翻訳書籍が発端だという人もいるくらいです。
 それに、説明を沢山入れたほうが客観的な文章になります。ただでさえ日本語はとても主観的な言語で、本来、人しか主語にならないぐらいだそうですから。言葉にできない情緒を表すにはちょうどいいでしょうけど。
 その点、それこそ英語なんかは当たり前のように物体&概念が主語になります。「仕事の疲れが僕を家に帰らせた」なんて日本語ではほとんど言いませんよね。「(僕は/が)(彼は/が)仕事で疲れたので家に帰った」が普通です。
 主語は人間、意外と現役な鉄則です。ちょっと話がそれたか。

 ということで、雑学紹介と雑感でした。
 ここから更に蛇足的な雑感。

 昔はさ。
 たとえば英語にも、もっと豊かな「コンテキスト」があったと思うんです。
 絵画でよく言われる、この果物は○○の象徴、燭台は○○の象徴で、この動物は○○の象徴で……見ただけではわからない、隠された意味がわんさかあります。魔術方面なんか特に色々あるじゃないですか。だから、ヨーロッパ系言語が元から低コンテキスト言語だったとは、私には到底思えません。
 それが何で低コンテキストになったのか。私が(勝手に)推測するに、民族同士で征服しては征服されての繰り返しで、言語と文化の混ざり合いが進んだからじゃないかなぁと。
 英語とかまさにそれ。詳しくないんでイギリスの例えでざっくり行っちゃうと、ケルト人がローマ人やバイキングやゲルマン系人に追い散らされたり、そのゲルマン系もやがてフランス人に征服されたりして、その間に英語は単純化と語彙増加の一途をたどり、いまやグローバル言語に。グローバル言語っていうと聞こえはいいですけど、文化破壊のはてに産まれた劣化言語とか言われたりな(ひどい)。特にビジネス英語。いやもちろん、便利でわかりやすいから使われてるんですよ!! わざと悪口言うとこうなるっていう……。

 神話的、民族的、生活文化的なコンテキストは、異民族の流入や大規模な民族移動などでどうしても変質したり、失われたり、混ざったりすると思うんです。だけどずっとその土地に住む人たちの間で、受け継がれていく文化があれば、言葉の「裏の意味」もまた受け継がれていく。
 言いかえれば、結局コンテキストとは、限られた文化圏内での「内輪ネタ」の集まりなんじゃないかと、私なんかは思います。内輪ネタって、通じない集団と混ざると段々消えていくじゃないですか……。

「猫飼ったんだ~」
「へえ、名前はワガハイ?(笑)」
「は? 何言ってんのお前」

「春だし花見に行くよ!」
「何の花を見に行くの? たんぽぽ?」
「???」

 みたいなやりとりが続いてみなさいよ。
 やってられませんから。
 そんでこうなるんだ。

「猫飼ったんだ~」
「へえ、名前はどうすんの? 夏目漱石の有名な小説みたいにワガハイにするの?(笑)」
「そんな小説あるんだ(笑) いや、ワガハイはさすがに変でしょ」

「春だし、桜を見に行くよ! ここらへんはそういう風習だから!」
「あー、そうなんだー。自分も行くよ」
「お弁当とかお酒とか用意してね」

 こうして誰が聞いてもわかるような表現が主流になってゆき、なんでもかんでも説明するようになり、やがて説明が面倒くさいので故事や文学に基づく言い回しとかは廃れ、どんどん低コンテキスト化する……みたいな。
 だから各地からの避難民(?)が集ったスイスの言語は低コンテキストなのかな、なんて想像を膨らませたりしてます。想像だよ。実際は知らんけど。

 まとめ:情緒と客観性を天秤にかける日々。
86:No title
ほ、ほへぇーっ!!(ΦωΦ)!
す、すごい、興味深いお話でした……! なるほどカルチャーショック……!! より多くの人に世界中の人にわかりやすく伝わるように英語としてどんどん簡略化に統一されていって世界共通言語に近いものになっていったのかなとか、確かに英語は日本人からすると(少なくとも私からは)ごちゃごちゃに感じるなぁ!と色々考えてしまいます……!
だからこそ英語苦手なのかもしれない……。本当に細かい説明だらけですよねっ、ここまでいちいち書かなきゃいけない事か、って確かに思わんでもない←
かく言う私も細かく書く時は書いてしまうのですが()ロルの長文率!! あまり英語の事言えないかもしれない。
しかし、いやはや面白いですね!! 雑学や考察大好きですヽ(*´∀`)ノ
そして昨日はラーナさんに初遭遇できて嬉しかったです!( *´艸`) 真っ白もふもふドラゴン……!好き!!
またお会いできるのを楽しみにしております!
87:Re: No title
こんなヤヤコシイ記事に! コメントありがとうございます! 
昨日はラーナさんでお世話になりましたm(__)m
人外PCを投入しすぎな感のあるPLです。いつもお相手頂きまして感謝です。ありがとうございます。

世界共通語のことを考え出すと、たとえそういう便利な言葉があっても、バックグラウンドの違う人間同士でどれだけの意思疎通ができるのか……とか、色々考えちゃいます。こう、黒バスクラスタとハイキュークラスタとで蹴鞠について座談会するような、ちぐはぐなコトになりやしないかと……あれ、意外と盛り上がるのかな……。

英語と日本語は発想が本当に違いますから苦労しますよね!
でもヨーロッパ系言語の中では活用が簡単なほうだから……(ただし言語内の規則性は無いに等しい)
ヨーロッパ系言語間でなら、google翻訳もいい仕事するらしいですが、日本語変換はもうどうしようもないっていう。

PBCでは状況を相手様に知らせるために、ある程度きちんと字数を割く必要はあるでしょうね。
たとえば森の奥の泉で「古池や蛙とびこむ水の音」と描写されたとしても、明らかな芭蕉オマージュでない限り、やはり説明不十分な感はあるかなぁと。なんでも適材適所ってことなんでしょう。

しかし色んな文体の人がいて面白いです。日々勝手に技を盗ませてもらっています。やっぱりここまで書くと分かりやすいなぁとか、あるいは書かなくても分かるもんだなぁとか。やっぱり驚きますね。

またお会いできるのを楽しみにしております!
またクロザネでランドールさんに突撃できる日を心待ちにしつつ。

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